「CARBON EXPRESS INC」

こちらが「CARBON EXPRESS INC」、やはり「DRIVERS WANTED」
   
社長と部長に丁寧に対応いただきました。スーツの方は通訳さんです。
   
やっぱり、コンボイはでかいですね、みんな興味津々で眺めてます。
   
バルク車を65台保有と言ってました、130台保有ということですかね。
   
トレーラーには、ベースフレームがありません&タイヤはこの大きさです。
   
車検はありませんが、点検規制はあるようで、全て自社で行っています。
   
取引伝票以外、運行&業務は全PC管理、質問にはなんでも即答でしたよ。
   
配車も自動配車システム・・・、でも何をみんなで相談しているのか?。
   

1983年に設立した、ニュージャージ、ワートンに本社のある液体のバルク運輸を専門とした運輸会社。潤滑油基油や他の石油製品の運送では業界のリーダー的存在で、安全を一番のプライオリティーと位置付け、2009年には全ての車両から、寝室兼用運転台(SleeperCab)を排除。社内でも議論となったとのことだが、モーテルでドライバーに休息を取らせることにより、ドライバー、路上での一般への安全性が確保された。

先方からのプレゼン

・保有車両台数は65台(トレーラシャーシを除く)。米国の運送事業者の平均保有台数は約40台。
・当社の運行では、例えばアラスカまで片道4,000マイル以上、片道で10日間かかる長距離運行がある。
・1960~70年代には長距離運行のドライバーは、ほとんどモーテルに泊まっていたが、2010年に、ベッドスペースのあるスリーパートラックは全てベッドレスに代替えし、ドライバーはモーテルで宿泊するように変更した。理由は2つ。1つは積載量を増やすため、2つめはドライバーの労働条件改善のため。
・ドライバーの賃金は、平均6~7万ドル、長距離ドライバーで平均7~9万ドル程度。
・当社のドライバーの最高給は、9,200ドル。日本の2倍近い水準である。一運行が約2週間のドライバーのケースで、運行後2~3日休日をとるパターン。1日の労働時間が約14時間、うち約11時間が運転時間。休憩時間は8時間の後に30分。
・このような運行は、ドライバーの確保が難しい状況となっている。
・車検は、1年、2年、5年ごとにあり、通った証拠としてステッカーが貼られる。自社でのトラクタのメンテナンスは2万5千マイル毎に、トレーラは3ヵ月に1回実施している。
・車両は20~30年使用している。自社整備しており、適切に整備すれば長く使える。
・このタンクトレーラの積載容量は7,000ガロン。アメリカではタンク内は横に仕切っている。日本の場合は縦の仕切りと聞いている。日本のように縦のほうが横揺れと縦揺れの違いで安全だと思う。おそらく製造コスト優先とのことからと思われる。
・一般的なバン型トレーラの全長は53フィートだが、タンクトレーラは重量がかさむため全長は42フィートでこれが平均的な長さ。長さの規制は州による例外があると思うが、政府によって決められているはず。
・最大積載量は80,000ポンド(36,320㎏)とのこと。高速道路や州によって重量が異なるケースがある。
・当社のドライバーの一人は、ATA(全米トラック協会)のキャプテンを務めている。
・ATAでは、学校などに出向き免許取得前の人達に、安全運転の指導を行っている。例えば55マイルのスピードからの制動距離がどのくらい必要か、83,000ポンドの重量だと60フィートはかかるなど。またトラックの死角の指導も。
・当社は、2016年にトラックの安全性を非常に高めたということで表彰された。
・当社では、全車両をリアルタイムでトラッキング(追跡)している。
・配車は、コンピュータにて重量等を加味した計画を立てている。

視察団からの質問

Q.使用しているタイヤは。使用距離は?
A.日本と異なる雪道でもOKな溝の深いもの。35万マイル(約50万㎞)程度まで持つ。年間走行距離が約12万マイルなので3年程度持つ。最も持ちがよいのはブリジストンとミシュラン。また、スーパーシングルというワイドタイヤも使用しているが、これはそんなに持たない。
Q.トラクタの新車価格は?
A.約13万1千ドル(約1,400万円)。
Q.危険物輸送に必要な資格は?
A.全てのドライバーが危険物輸送の資格(試験で取得)と、港湾での積み降ろしに必要な身分証明の資格(申請のみで取得)を持っている。これらの資格は、一般的にはドライバー負担で取得するが、当社では会社負担で取得させている。
Q.ドライバーの定着は?
A.当社の場合は非常に長く働いてくれるドライバーが多く、ターンオーバーは少ない。
Q.初任ドライバーの教育研修と、その後のサポートは?
A.当社では約4年前から、21歳からの若いドライバーを雇うようにした。トレーニングは6か月程度。
Q.AIや自動運転についての考えは?
A.自動運転によってトラックドライバーが不要になる(リプレイする)ことまでんはならないと思う。
Q.ドライバーの平均年齢と離職率は?
A.当社では平均45歳。業界全体では57歳と聞く。高齢化は大きな問題である。大手のトラック会社では離職率はほぼ100%。当社は低い。

 

Aグループ報告(田口・古谷・杉本)

   
1 訪問先企業による説明概要
・ニューヨーク郊外の1983年設立の液体輸送に特化した会社で2016年に全米トラック協会から表彰受けている。
・2009年にSleeperCabを無くして休息にモーテルを利用。
・アメリカでもドライバー不足である。
・教育研修として6ヶ月で、ドライバーの平均年齢は45歳で女性1名、業界平均は57歳。
・保有車両は66台(トレーラーシャーシを除く)年間1000万ドルの保険を保険料33万ドルで加入している。
・平均給与は6万ドルから7万ドル位で長距離の稼ぐ人で9万2千ドルになる。
・2週間の運行で3万ドルの運賃になり、1日約14時間拘束で約11時間運転の8時間で30分の休憩し、運行後23日の休日になります。
・ドライバーの離職率は年25%で大手のトラック会社はほぼ100%。
・危険物免許有り(3082 環境に問題が出るものを運んでいる)
・スーパーシングルタイヤは良くない。(ワイドタイヤ)
   
2 説明を聞いて感じたこと
・乗務員の年収が60,000~70,000ドルというのは、現在為替を仮に105円/1ドルを基準として±15%とすると、90円/1ドルであれば、540~630万円、115円/1ドルであれば、690~805万円ということになる。物価の水準と現実の就労時間からすると日本とあまり変わらないというのが感想である。但し長距離乗務の場合、最高で920,000ドルということなので、828~1,058万円ということになるが、これは日本ではありえない金額である。
・SleeperCabを無くしてモーテル利用の理由が建前と違って積載量を増やす為だったが、結果としてドライバー満足が向上しているのは長距離輸送をする会社には参考になるのではないでしょうか。(アメリカでも車中泊を出来る場所が無くなってきている)ただ、モーテル利用の休息について日本における標準貨物運送約款には、下記のように、貨物に対し一定の監視義務があります。
(責任と挙証)第39条 当店は、自己又は使用人その他の運送のために使用した者が貨物の受取、引渡し、保管及び運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、貨物の滅失、き損又は延着について損害賠償の責任を負います。
各地のサービスエリアやトラックステーションに駐車していたとしても、貨物看護は必要です。一定のセキュリティー状態で監視義務を果たしているという状態が通説化すれば日本でも、長距離輸送時には大いに参考になろうかと思います。
・少なくとも自社より進んでいるIT利用
★インタビュー中、保険料を聞かれた際に、スマホを利用して確認をしていた。もちろん見るだけなら技術的には充分に対応できるレベルであると思うが意思決定まで進んでいるのかどうか。また日本でも最近は各車両に燃費情報なども出てくるがドライバーが持つスマホから、整備情報、燃費情報、配車情報などにアクセスさせることで社内間の連絡業務などは、充分に効率化できる余地があると感じた。
★事務所内での配車画面は(少ししか確認できなかったが)、自社より進んでいると感じた。液体輸送という特徴もあろうが、荷主・車種・仕向地などのマスター管理を充実させ配車マンの頭の中にある情報を可視化しているレベルではないか?。将来AIに配車業務を学習実行させるには先ずペーパーレスの実現と過去データの整理が重要と感じた。
・ブリヂストンのM726という見たことのタイヤを履いていたが、35万マイル(約50万㎞)程度までもち、年間走行距離が約12万マイルなので3年程度もつ。パターン、硬さ、溝の深さの違いと交通事情等の違いは有ると思うが、かなりもち雪道もOKなので日本に導入されないのは何故だろう。
3 その他
林の中に事務所が有り、素敵な環境でした。

 

Fグループ報告(清水・池永・柳原)

ニュージャージーはニューヨークに隣接しており、さながら東京に隣接する埼玉の様。そこにある当該企業は、長距離主体の危険物輸送で、平均的な米国でのドライバー給与では高額の部類。しかしながら、既存乗務員の高齢化と新規での入職者は不足している状況。
自社の管理下にある広域に存在する車両と貨物のマッチングを一元管理したモニター上で配車している。管理費用を合理化し、車両の構造変更による積載量の向上等で効率を上げ利益率を確保する傍らで、人員が高齢化していく既存乗務員への配慮をしたモーテル等での仮眠を推奨し、結果的に安全や健康に配慮した環境改善が出来て、乗務員の満足度向上を図ることに成功していた。
雇用制度は違うが、労働力不足を解消する手段と会社の永続的な経営のバランスを図る点で、利益確保=賃金確保、環境改善=定着率・雇用継続率向上は、現在の日本のトラック業界にも必要な経営方法であると言える。

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