「全米トラック協会(ATA)」

こちらがAYA(全米トラック協会)、快く迎えていただきました。
   
業界に有益な法案変更に関する陳情が、最も重要な仕事のようで、
   
この日も会長は不在でしたが、副会長から丁寧にご説明頂きました。
   
大人数なのにお土産までのお気遣い恐縮です、有難うございました。

 

ワシントンにある全米トラック協会を表敬訪問。事業の適正な運営と健全な発展を促進し、公共の福祉に寄与している協会団体の活動内容や、業界の社会的・経済的地位の向上を目的としている団体の方針などを伺い、相互交流。

先方からのプレゼン

①ロビー活動、PR活動について
・全米トラック協会(ATA)の会員数は3,000社。
・主な役割は、議会に対するロビー活動。会員企業の利益を代表して業界に対するよりよい経営環境を目指し、運輸省や環境省等に対して働きかけを実施している。
・業界の現在の最大の課題は労働者の不足。ドライバーや技術者が不足していること。予測では、今後の10年間で10万人のドライバーを更が必要。ドライバーは平均58歳と高齢化が顕著。ドライバー以外にも75,000人の車両整備等の技術者が必要としている。
・ATAでは人材確保のために、トラック運送業界を「クールでかっこいい」業界としてPRを実施中。車線逸脱機能をはじめとする安全関係や自動化の技術の導入により以前とは異なる環境となりつつあることもPRしている。
・PR活動においては、プロのドライバーをスポークスマンとして活用し、例えばホワイトハウスにトラック2台を持ち込んでのPRなど、行政の政策決定者や議会関係者、メディアの意識を変えるべく取り組みを実施中である。
・今後影響が及ぶとみられる規制として、ドライバー不足に対応する法案が。アメリカの規制は、トラックの大きさだけではなく、州内輸送と州際輸送で連邦の年齢規制がある。例えば、現在は、18~21歳のドライバーは、州際輸送(州をまたがる輸送)はできず、高校卒業後すぐできるにドライバー業務が限られるため、他の産業で働いてからトラックドライバーにならざるを得ない。これをできるようにする法案があげられており、若いドライバーの活動範囲を広げることができるようにしようと。
・また、2016年に制定された規則として、ドライバー希望者に対して初期訓練を義務付けることとなったが、これも運転手の不足に影響を及ぼす規制とみている。また別の法案では、18~21歳のドライバーは、熟練ドライバーの添乗を義務付けたり、見習い期間には120時間の勤務時間をこなすこと、そのうちの80時間の添乗指導を行うなどを求めるものもある。

②トラックの自動化について
・米国では、貨物が増加傾向なのに対し、ドライバーが不足しているため、効率的な輸送に向け自動運転トラックの開発が進められている。ATAではトラック自動化委員会を設置し、伝統的なトラックメーカーのみならず新しい技術開発企業にも対応している。
・ただし、労働組合は、自動化によってドライバーの失業を懸念しているが、自動運転は、例えば西海岸と東海岸をつなぐ長距離運転をカバーするもので、短距離運転などは引き続きドライバーが行うとして説得している。
・トラックの自動運転は、まずは無人ではなく、乗り込むドライバーが自走式トラックのモニターを監視し、貨物の安全確保や貨物の積卸を確認する役割は果たすことになる。なお、自動運転トラックは購入費がかなりかかるが、一方でコスト削減になるというビジネスモデルを構築していかなければならない状況にある。
・また、プラツーニング(2両が連なっての走行)により、2両目の空気抵抗が削減されることのメリットを求め、1両目のブレーキングが2両目も働く技術を開発中である。

③燃料関係について
・過去30年間、トラックの排ガスに規制が実施されてきた。特に排ガス規制の中で対象となっているのが、微粒子とオゾン系。その規制に対応してきてほぼゼロに近くなったが、さらに厳しくするのは難しい状況に立たされている。
・温室規制ガスの排出を規制するための燃費規制も2014年に規定。段階的に21%の燃費アップを求めるもの。エンジンの効率アップ、その他の効率アップ(例、空気抵抗やタイヤ、オイルの改善など)に主に車両メーカーの対応内容であった。
・2018年に導入された燃費と温室効果ガスの規制は、2027年までの段階的導入。エンジンを中心とした規制で25%改善。運送会社では、新たな車両や適当なタイヤ等を企業で選択しながら導入することで対応することになる。
・ATAでは、燃料については、特定の燃料をプッシュすることはせず、トラック事業者の自由な選択に任せている。現在の中心はディーゼルの使用。ごみ回収車やバスなどは天然ガスの使用が増えている。今後新しい燃料が提供される見通しである。
・主な新しい燃料は、①電気自動車トラック(テスラが開発)、②水素燃料電池(ナイトラーが開発、2019年に本格実験、市場導入の見通し)。この2つの燃料技術はATAも支援しており、どちらが優れているか、その後の市場において決まると思われる。

※質疑応答はなし

 

Aグループ報告(田口・古谷・杉本)

ワントンにあるATA(全米トラック協会)を訪問。協会の役割は、各州のトラック協会の取りまとめ、政府に対するロビー活動など、日本の全日本トラック協会とほぼ同様の役割となっています。
アメリカにおいても日本同様に労働力不足が一番の課題となっており、今後十年間での貨物量に対し、約十万人の労働力が必要とされているそうです。人材確保のためにトラックドライバーのイメージを上げる努力を行っており、トラックドライバー自らメディア等にアピールしているとのことでした。
また、ホワイトハウスにトラックを持ち込み、業界全体のイメージアップの活動を実施したそうです。労働力不足の対策として、様々な規制について緩和する活動も行っており、一例として18歳~21歳のドライバーでは、州をまたいでの運行は禁止となっていますが、この法案を撤廃する方向で動いています。ドライバー不足、輸送量の増加に対し、自動運転の推進、技術開発も進んでおり長距離輸送の補助的役割を担うことに期待されています。
アメリカにおけるトラックのエネルギーについては、日本同様に軽油が主流であり、排出粒子とオゾン層対策として排ガス規制を実施、30年間で一定の成果をあげています。また、燃費向上に対し、各メーカーにエンジンやタイヤの性能改善を要請しているとのことでした。
ATAを訪問し感じたことは、アメリカにおいてもドライバー不足が日本同様に深刻な課題であること、ドライバーの平均年齢が上昇していることが今後どう対応して行くかということが共通の課題であること感じました。

 

Bグループ報告(石川・土田・直井)

全米トラック協会は、アメリカン・トレード・アソシエーション(ATA)。全ての洲にトラック協会があり、それらをまとめている。トラック輸送業界の雇用創出、教育、その他、議会に対するロビー活動をはじめ、法律等に関して行政に働きかけを行っている。また、隣接する他国にも配送をしているため、これらの国による規制や関税、入国管理の条件があり、各輸送会社への国境を越える輸送活動のためにも働きかけている。トランプ大統領が掲げる『米国第一』主義に乗っ取り、海外からの輸入に頼らず自国で生産できるものは自国の為に使い、経済を活性化させることに貢献している。
・エネルギー環境関連活動
トラックは、主にガソリンとディーゼルを使用しているが、今後は電気車輌や水素燃料電池、天然ガスを使用し環境保全に取り組もうとしている。導入に関してはそれぞれの運送会社が選択権を持っている。
・各州の法律
アメリカの法律はドライバー不足に影響を及ぼしている。18歳から21歳は洲をまたいでの車両運転が禁止されているため、すぐにドライバーとして働くことができない。ドライバー不足を解消するために、現在新たな法案が出されている。
・トラックの自動運転
アメリカではトラックの交通事故が多いので自動化技術は安全面でメリットがあり、運転手の助けとなるだろう。そして昨今貨物輸送需要が上昇しており、貨物輸送・物流は10年間で約10万人のドライバーが必要とされているため、自動運転技術は労働者不足も解決できるだろう。しかしアメリカの労働組合は、ドライバーの仕事がなくなる、と反対をしている。それに対しATAは、モニターしながら貨物チェックしたり運転したりと、見ながらが続くため、ドライバーの仕事はなくならない、と反論している。

アメリカはエネルギー政策の観点で天然ガス生産量世界1位。シェールガス開発に成功し、環境保全政策は前進し続けている。天然ガス車は大気汚染物質や温暖化ガスを排出しにくいという利点があり期待が大きい。だが、日本国内での注目度は極めて小さい。パリ協定の掲げる『産業革命前と比して世界の平均温度の上昇を約2℃より十分下方に抑制する』という長期目標の達成に向けCO2抑制に配慮する必要がある。
日本は、原油の80%を中東地域に依存している。地政学的リスクも高く、価格が不安定な傾向にある。天然ガス自動車の普及を改めて強化するタイミングである。そして、自動運転の隊列走行により空気抵抗を減らし燃費改善、事故削減、ドライバー不足改善を目指したい。

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