Author Archive

検討中の新規事業も「縁」です。

新規事業検討中で、某先輩の会社へお伺いしてきました。
   
明日「事業協同組合総会」で、定款目的に2項追加します。
   
技能研修の現場&研修センターまでご案内頂き恐縮です。
   
今日知りました、東日本大震災の支援物資搬入搬出倉庫、
先輩のとこだったんですね、大変な労力おかけしました、
あのシステム(防災RUN)、30年前、僕が創ったんです。
   
研修試験の実態までご説明頂き、研鑽の奥行に脱帽です。
先般、ご子息様ともご一緒、何か「縁」を感じています、
   
お土産までお気遣いm(__)m。今後とも宜しくお願いします。

表彰?もいただいたようです。

克美さん・・・何回も代理出席で申し訳ありませんm(__)m。

oyabinの不手際で運輸関係からはいただけなかった表彰です。

いつもすみませんm(__)m。

取引先の呉服屋さんから、ごちそうさまです。半纏できましたか?
   
川上村から、配り切れないほど大量の「高級高原レタス」m(__)m。
   
こちらは、おばさんから、ありがと。「玄関のアジサイ」ですか?。
   
一昨日、いつもの貞夫ちゃんが、出庫前玄関に置いていったようで、
   
もう年(71)なんだから無理しないでね・・・。ごちそうさまでした。

通常に戻りますm(__)m。

米国物流視察の団長を務め、多くの皆様にご参加。ご協力を頂き
感謝しております。詳細未記載の部分は1週間以内に対応します。

本日から通常ブログに戻します。皆様お待たせしましたm(__)m。

出張のため「熊谷監督署陸災防総会」参加できなくてすみません。
   
常務(カミさん)が代理出席したようです。お土産までm(__)m。
また、札幌で別の「総会」もあり深谷スタッフが不足でm(__)m。

「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」


「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」

STA一般社団法人埼玉県トラック協会
2018年度未来想造委員会

 

              

                                                  「視察研修報告 目 次 (リンクしています)」

 

     01 「視察前後研修&アメリカ視察日程」    13 「グループA(田口・古谷・杉本)」

     02 「会長挨拶」               14 「グループB(石川・土田・直井)」

     03 「総括報告」               15 「グループC(井田・塚原・井田)」

     04 「視察報告(関東地区大会)」       16 「グループD(野村・坂本・穐山)」

     05 「CARBON EXPRESS INC」         17 「グループE(添野・篠崎・添野)」

     06 「全米トラック協会(ATA)」        18 「グループF(清水・池永・柳原)」

     07 「在アメリカ合衆国日本大使館」        19 「埼ト協 交通環境部 瀧澤浩幸」 

     08 「CTC AMERIKA」&「LOCIX」        20 「第1回セミナー(視察前研修)」

     09 「SAP」                                 21 「第2回セミナー(視察前研修)」 

     10 「APPLE VISTOR CENTER」          22 「第3回セミナー(視察後研修)」

     11 「box」                   23 「視察研修報告会&解団式」

               12 「日通(サンフランシスコ)」                                    24 「視察研修参加者名簿」

「視察前後研修&アメリカ視察日程」

「セミナー(視察前研修)」
04/24(火)・・・海外物流事情・先端IT物流セミナーVOL.1
05/24(木)・・・海外物流事情・先端IT物流セミナーVOL.2

「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」
06/10(日)・・・成田発16:50(NH010)~ニューヨーク着16:35
06/11(月)・・・ニューヨーク物流視察「CARBON EXPRESS INC」「日通ニューヨーク」
06/12(火)・・・ワシントンDCへ移動&視察「全米トラック協会」「在米日本大使館」
06/13(水)・・・ワシントンDC発15:50(UA560)~サンフランシスコ着18:45
06/14(木)・・・シリコンバレー視察「CTC AMERIKA」「LOCIX」「SAP」「APPLE VISTOR CENTER」
06/15(金)・・・シリコンバレー視察「box」、サンフランシスコ物流視察「日通サンフランシスコ」
06/16(土)・・・サンフランシスコ発12:20(NH007)~06/17(日)成田着15:20

「セミナー(視察後研修)」
10/03(木)・・・海外物流事情・先端IT物流セミナーVOL.3

「会長挨拶」

米国運輸産業並びに第4次産業革命等の視察について

一般社団法人埼玉県トラック協会
会  長   鳥 居 伸 雄

 日本国内では「一億総活躍社会」を実現するため、非正規雇用労働者や長時間労働の是正など、労働制限の抜本的な改革を目的とした「働き方改革関連法案」が成立し、「生産性革命」に沿った施策、取り組みが次々と展開されるなか、トラック業界としても積極的に対応している所でありますが、現状では解決すべき課題が山積している状況であります。

 当協会では、トラック業界における輸送の安全確保への対策、多様な人材確保・育成への対応など、時代に即応した様々な課題への取り組みを実施しております。

 こうした課題への対応において、グローバル化した産業構造のもとでの、諸外国に関する知識の集積や関係者との交流は、我が国運輸産業の今後の発展にとって重要な要素として捉えており、これに鑑み当協会では平成8年のアメリカ合衆国視察研修以降、時々の課題に対応した諸外国の視察研修を過去4回実施して参りました。

 今回、アメリカ合衆国視察から22年を経過した同国を再び訪問し、アメリカ合衆国の運輸産業の現状、取り巻く経済・労働環境の状況、並びに第4次産業革命といわれるAI(人工知能)やIoTに関するアメリカ合衆国の先進的な開発状況、先進事例等を視察してまいりました。

 現地では物流企業を訪れ、米国内の状況等を意見交換する事により日本国内で抱える労働時間、賃金並びに法律による企業での課題を日本の業界と比較する事ができました。

 更には在米国日本大使館の駐在員との意見交換を行い、直接米国のトラック運送業界の実態を視察する事により、次世代を担う参加者にとっては大変に貴重な体験となり、また、第4次産業革命においては、労働人口が減少する中で、生産性を上げるためには、デジタルイノベーションを推進する事が重要であり、今後の協会運営に大いに役立つものと確信しております。

 今般、参加者それぞれが感じた事や学んだ内容等の報告書がまとまりましたので、ご参考にしていただければ幸いです。

「総括報告」

米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修 を終えて

未来創造委員会
担当副会長(視察団団長) 瀬山  豪
委員長          清水 英次

 

訪問先企業並びに組織・団体は、物流企業として「カーボンエクスプレス」「日通ニューヨーク」「日通サンフランシスコ」の3ヶ所、組織及び団体として「全米トラック協会」「在アメリカ日本大使館」の2ヶ所、AI・IOT企業として「CTCアメリカ」「LOCIX」「SAP」「box」「APPLE VISTOR CENTER」の5ヶ所です。
当初視察先には皆様もよくご存じの「OTTOオットー」「WAYMOウェイモ」「NVIDIAエヌビディア」「Tesiaテスラ」も含まれておりましたが、自動運転による人身事故等が発生した関係でかないませんでした。

★はじめに、皆さんが気になる「自動運転」・「電気自動車」について感じたことを報告します。

・「自動運転」については、米国内でも運輸関係会社そのものからすると「まだまだ先のことで我々には関係ない」という感じでした。
ところが在アメリカ日本大使館では、それぞれの州が自動運転実験用に街を提供する申請をしており、自動運転による事故の賠償責任の当事者(誰や何が悪いのか)等の法規的根拠が決定すれば「近い将来にはエリア限定で自動化されるだろう」という見解でした。発生した事故の賠償責任問題が訴訟になっていましたが、現在は各社のオートパイロットシステム設計が大きく改善され、今後は車側の過失がなくなる可能性もあるそうです。
これについての昨年以前の状況については、国土交通省の「第4回自動車運転における損害賠償責任に関する研究会」の資料2「海外における動向について(平成29年9月27日)」というレポートでまとめられていますので、ご確認いただければと思います。
自動運転というと日本では高速道路の追従運転レベル(国土交通省が考える完全自動運転のレベル3)の話ですが、トラック輸送についてはともかく、現実にはローカルモーターズが開発した「電動小型バスOlli(オリー)」は、特定エリアで運行しています。シリコンバレーで伺ったところ、自動運転になることによって街中の車の双方確認が可能になり、信号さえもなくなり且つ事故もなくなるというという話でしたから、日本と欧米ではステージそのものの次元が違うようです。

・「電気自動車」について日本は、2030年までに新車販売台数の50~70%を「次世代自動車(EV・HV・PHV)」にする目標を掲げています。世界的にはBEV(バッテリを動力源とする電気自動車)に舵が切られています。アメリカでもカリフォルニアでBEVの普及を促進する規制がしかれたことから考えても、今後全ての乗用車がEVになると思います。
トラックについては、アメリカの2社(テスラ・ナイトラー)が、来年には製造開始(既に注文を受けている)とのことです。トラックの主要車両が電気自動車(テスラ)になるか水素燃料電池(ナイトラー)になるか、あるいは別の形態の電気自動車トラックになるかもしれませんが、EV開発やシェアリング対応ができないメーカーは、なくなってしまう可能性が高いと感じました。

★続いて、アメリカにおける物流事情(トラック)と労働環境についいてです。アメリカのトラックによる物流は、州を跨ぐ物流とエリア内の物流とに分けられますが、ここでは州を跨ぐ物流について報告します。

・本年(2018年)4月1日から、州を跨ぐ物流(長距離)の運行に関する時間的規制が厳格化しました。1日の運転時間は11時間、実運転時間8時間で30分の休憩、1日で14時間を超える就労は違反、これに伴う運行日数は2週間運行後に3日の休暇を取る必要があるそうです。トレーラートラックの95%が個人所有、その車両の全てに電子ログ記録装置(ELD:Electric Logging Device)の取付けが義務化され、インターネット回線で統括管理されています。仕事の多くは請負先からの配車であり、違反が4回を超えた場合、請負先に車両停止命令の連絡がいくそうです。多くの車両を会社そのものが管理運行する日本とは全く違います。

・重量管理についても高速道路には、区間ごとに台貫車線(Weight Station)が設置されており、トラック及びバスは台貫車線通行時に重量オーバーが確認されるとその場で停止という合理的なものでした。

・視察した運送会社(バルク車専門・68台保有)は、見た目アナログ的な趣きの会社でしたが、業務については一括クラウド管理されており、詳細な質問をするとPCもしくはスマートホンで確認し即答してくれました。配車についても自動配車システムを採用しており、そこから各車両に運行指示を出していました。これについては在アメリカ大使館でも自動配車システムソフトの良し悪しは別として、ほとんどの会社がPCネットでのクラウド管理をしているとのことでした。

・ドライバーの年収は、州を跨ぐ運行(長距離)で900万円程ということでしたから、就労時間及び物価から比較すると日本より若干高い程度のようです。米国月例経済報告によると、3%程度の経済成長が継続しており、景気は非常に好調(詳細は記載しませんが)。失業率は5月時点で3.8%、ドライバーに限らず人手不足なのですが、本年4月の時間的規制の厳格化以降、収入の歩留まりがはっきりしたためでしょうかドライバーの離職率が高まっているそうです。

・アメリカは先進諸国の中で唯一人口増加国(出生率のほうが高い)です。しかし現在のドライバーの平均年齢は57歳で日本と比較しても高齢化が顕著です。今後10年間で10万人のドライバーが必要(不足するという言い方はしていなかった)で、ドライバー以外にも75,000人の車両整備技術者が必要だそうです。

・商慣習や考え方については、職種に対しての執着がなく儲からなければ撤退するという考えの人が主流で、1980年の規制緩和で一時的に業者数は増加したものの、それに伴う価格競争の影響により、元請会社・請負会社とも多くが統廃合したそうです。規制緩和によって業者数が増加したままの日本とは全く違います。日本では、自動車事故が大きくクローズアップされ、伴って車両製造整備や就労環境までも報道されたり調査の対象になったりしますが、アメリカではトラック車両についての事故がクローズアップされることはほとんどないそうです。また、車両整備やタイヤについては、基準が違うのか?規制のせいか?詳細については分りかねましたが、コストが大きく違うことが印象的でした。例としてタイヤですが、価格は日本の通常の大型タイヤと変わりませんが3年もつそうです。

★続いて「第四次産業革命」についてです。

・四次産業革命は、あらゆるものがネットワークにつながり(IOT)、膨大なさまざまな情報を収集し、人口知能(AI)が解析、そのビックデータを活用し、機械やシステム等を制御していくこと等による産業動向の変化を言います。経産省では、第四次産業革命で、経営や商品企画の分野で136万人、製造・調達分野で262万人、管理部門で145万人が仕事を失う試算されています。また、自動運転をはじめとAIによる自動化はさまざまなコストの削減だけでなく、労働人口問題への解決策としても注目を集めています。これについては内閣府の日本経済2016-2017」をご覧になれば詳細にわたって記載されています。

・今回の視察を通じて我々は、「第四次産業革命」とは、IOT、ビックデータ、AIを利用して生まれるイノベーション(もしくはイノベーションによってIOT、ビックデータ、AIを活用すること)による新たな産業構造だと確信しました。※イノベーションとは、物事の・新結合・新機軸・新しい切り口・新しい捉え方・新しい活用法を創造する行為です。経営を軸にいいかえると効率性を追求するためのイノベーションと、創造性を追求するためのイノベーションがあり、これは、既存の枠組みを破壊するという行為そのものです。 我々が今取組んでいる様々な形態の3PL(提案型の運輸・管理の変化)事業も効率性を追求するためのイノベーションと言えます。しかし後述した創造性を追求するためのイノベーションは、ともすれば我々の「運ぶ」という行為すらも飲み込んでしまうことすらあることを知っておいたほうがいいと思います。

・アメリカでは、イノベーションを起こすスタートアップ企業(ベンチャーIT企業など)を支えるベンチャーキャピタル(※資金だけでなく、営業、法律、財務などベンチャーの不足な知見に全て対応する)の殆ど(約400社)がシリコンバレーにあります。今回視察させていただいたCTC(伊藤忠テクノソリューション株式会社)もそのひとつです。年間に500社を調査し、実際に面会して詳しく話を聞くのが200社、その内100社程度を日本の本社もしくはお客様に紹介し、今期5社と新たなパートナーシップ契約したそうです。「デジタルトランスフォーメーション(※ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念)」で、IT利用による業務プロセスの強化や、ITによる業務の置き換え、ITと業務へとシームレス化できるベンチャー事業(スタートアップ)を支援しています。現在のキーワードは「シェアリングエコノミー(世の中に余っているモノや人、スペースなどを、必要としている人に貸し出す形のビジネス)」だそうです。

・また視察先の「SAP」は、大企業向けのソフトウェア市場においては圧倒的なシェア(企業の基幹システムであるERP(人物金の情報を一元管理し経営支援する)分野においては世界一)の会社です。同社は2004年から、「デザイン・シンキング(思考)」を企業文化として導入しあらゆる分野で様々なイノベーション事業を起こしました。売上高は3.2兆円で2004年の2.5倍、純資産額14兆円(ドイツ最大)、フォーチュン500にランキングされる企業の87%がSAPの顧客だそうです。
ご説明いただいたところ「デザイン・シンキング(思考)」は、「共感」をキーワードに潜在的なニーズを掘り起こし、さまざまなプロトタイピング(試作段階からユーザーにご利用いただきユーザー要望を反映させながらシステムを繰返し開発する)を通じて課題とソリューション(解決する方法)を検証する手法で、初期のコンピューターもiPodやWiiなどもデザイン思考で生まれたと言われており、イノベーションを起こすプロセスだそうです。SAPは製品やサービスを提供する側が一方的なソリューションをユーザーに押し付けがちになるこの手法を、ユーザーと一緒にニーズを深掘りし、ソリューションを継続するという形式にしたことによって今日の成長を遂げました。現在では「デザイン・シンキング」の総本山と言われています。SAPの「デザイン思考」は、先ず品質よりもスピード重視、品質は繰り返しにより向上するという考え方で進めており、結果この分野に置いて日本人はマイノリティーだと日本人に言われたことはショックでした。

★ここで有名なイノベーション企業について触れさせていただきます。

・タクシー業界の「Uber」や、民泊業界の「Airbnb」等がこれにあたります。Uberの自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリは、現在は70カ国450都市以上で展開しています。在米アメリカ大使館でお伺いしたところ、職員100名のうちタクシーを利用している人は1名だそうです。なぜタクシー利用なのかと質問したところ帰ってきた答えは「使わないとタクシーがなくなってしまうから」ということですから、いかに凄いかがわかります。

・また、Airbnbは宿泊施設や民泊施設を貸し出す人向けのサイトでスタートしましたが、現在では体験そのものも商品として取り扱っている世界最大の民泊情報サイトで、バケーションレンタル業界という言葉さえ生まれました。日本でホテルの予約がインターネットで行われるようになったのがここ10年、現在85%がインターネットによる予約だそうです。このAirbnb(HomeAway含む)によって生まれた新機軸は、既存のインターネット予約事業までも飲み込もうとしています。

・前記のどちらもが「シェアリングエコノミー」ということになります。そしてこのどちらにも「ダイナミックプライシング」が採用されており、需要と供給の状況やお客様のニーズに応じて価格を変動させているのです。今は子供のころからスマホを使いアプリを利用している訳で、ユーザーと貸主を直結させ且つ利便性の高いものが、世界を席巻していくというのは当たり前のことです。視察先内容ではありませんが、「中国版Uber」のライドシェアサービスも同様で、こちらも白タク行為ですが、中国人を中心としたインバウンドの利用はかなり多いようです。
もちろん「Uber」を禁止している国や都市はあります。一部を除いて日本がそうですし、都市で言えばニューデリー、ソウル、リオ・デ・ジャネイロも禁止されています。それでも、これだけ世界を席巻し潤沢な資金を市場調達できる「Uber」や「Airbnb」やこれからも生まれるだろう多くのイノベーションに無縁でいることを継続できるとは思えません。日本においても、近く大きな動きがあると考えるのが自然です。

★ここで我々に近いところでの事例を言うと

・前述した「Uber」ではウーバーラッシュやウーバーイーツという個人向けの配送サービスを始めました。これに最も打撃をうけたのが米国大手の「UPS」だそうです。その後「UPS」がイノベーションし、輸送のオンデマンドサービスを開始しました。「運ばない物流(3Dプリントのビジネスモデル)」の構築です。「UPS」は現在3Dプリンターを世界一所有する会社になりました。(※ローカルモーターズ社は、世界初の3Dプリントによるクルマを製作した会社(製造時間44時間)です。前述の「電動小型バスOlli(オリー)」も3Dプリントで製造されているのですから)これは輸送そのものの形態を変えるイノベーションということになります。

★ここまで説明したように、イノベーションを誘発(運用)する形態(会社)はいくつか種類があります。CTC等のベンチャーキャピタルのように初期の「スタートアップのイノベーション」をフォローし展開するものや、SAPのように顧客や自社の疑問・要望・発案を自社の中でイノベーションとして具現化していくもの、また一般から発案を探し自社の中でイノベーションさせていくもの等々です。ここで一般の発案を発案者とともにイノベーションする企業のPR映像がありましたので紹介します。実はこの内容はシリコンバレーで我々が研修させていただいた内容によく似ていますので、これを見ることによって本報告では解りづらかったことが伝わるかと思います。

・創造的破壊はもはやスタートアップ企業だけのものではない(IBM イノベーション・ガレージ)

★今回の視察を通して、これまでのモノや仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れ新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすイノベーションは、常に急激な変化(新たな収益構造)を求めています。これは技術の発明や化学の進歩とは一線を隔する内容で、日本では社会構造的に受け入れがたい感覚と、若干ではありますが乗り遅れると大変なことになるという恐怖感を感じました。
私はゴルフ事業にも係っていますが、10年ほど前からゴルフ場はネットでの予約件数が急増し、現在では予約の約85%が予約検索サイトからです。これはITイノベーションによりできた収益略奪構造です。結果価格競争を生み、毎年30ヶ所程閉鎖もしくは業種転換という状況です。この状況に対応すべく各ゴルフ場が予約検索サイトの枠数を減らしたり、もしくは予約検索サイトを利用しない運営(プラットホーム)を模索しています。
運輸や倉庫を事業の根幹とする我々は、既存の体制や流れの効率化というイノベーションには取組んでいます。しかし創造的(破壊的)イノベーションに対しての準備が必要かもしれないのに、国内の既存の法令等によって守られているからか「気が付いてもいない」と感じたのも事実です。
しかしながら2015年国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、イノベーションに直結し加速させ、さらなるイノベーションを誘発させています。我々に必要なことは、急速に変化する時代の先端思考を見失うことなく、そのプラットホーム(落着き先)を見定めて変化していけることのようです。

★今回の「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」を経て、私自身が大変勉強になりました。そして今回の研修を通じて参加いただいた皆様の間に強固なネットワークが構築されつつあることも事実で、それは必ずや参加者相互の有益性に繋がると確信しております。結びにあたり、この研修の発案者である埼玉県トラック協会鳥居会長に、そして本研修のアシストを頂きました日通総研大島取締役に感謝申し上げ報告といたします。ありがとうございました。

追伸:「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」は、事前研修2回・米国出張研修8日間・事後研修1回で構成しました。本報告書は、米国出張研修8日間で強く感じたことを取りまとめました。事前事後研修・米国出張8日間の各視察先での研修詳細についてはふれておりません。

「視察報告(関東地区大会)」

米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修 」を終えて

 

未来創造委員会
担当副会長(視察団団長) 瀬山  豪
委員長          清水 英次

 

一般社団法人埼玉県トラック協会

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

視察先は、物流企業として「カーボンエクスプレス」「日通ニューヨーク」「日通サンフランシスコ」
  
組織及び団体で、「全米トラック協会」「在アメリカ日本大使館」
 

 

AI・IOT企業は、「CTCアメリカ」「LOCIX」「SAP」
  
「box」「APPLE VISTOR CENTER」 計10ヶ所
 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

先ずは「自動運転」についてです。 運送会社は、

「まだまだ先のことで我々には関係ない」

・ところが日本大使館では、

「各州が、自動運転実験用に街の提供を申請しています。」

※自動運転による事故の賠償責任の当事者が誰になるか(誰が悪いのか)の法規的根拠が決定すれば、

「近い将来にはエリア限定で自動化される。」

現実に特定エリアでは、下記等の無人バスの運行はされています。

「ローカルモーターズ」の「電動小型バスOlli(オリー)」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本では、「高速道路の追従運転レベルまでの話」が、シリコンバレーでは、
「街中の車の双方確認が可能=信号がなくなる=事故がなくなる」

ですから、日本とアメリカでは、ステージそのものの次元が違います。

自動運転で発生した事故の賠償責任問題が訴訟になっていましたが、日本大使館やATAでは、

「各社のオートパイロットシステム設計が大きく改善され、
アメリカでは今後は車側の過失がなくなる可能性がある。」

参考:国土交通省「第4回自動車運転における損害賠償責任に関する研究会(平成29年9月)」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★「電気自動車」は、乗用車については日本と同様、

「今後全ての乗用車はEVになる」

・トラックについては、日本が少し遅れているでしょうか、

「アメリカの2社(テスラニコラ)は、来年には製造開始」

※トラックの主要車両が電気自動車(テスラ)になるか水素燃料電池(ニコラ)になるか、あるいは別の電気トラックになるか、いずれにしてもATAでは、今後も各社の開発に協力していくということでした。

「EV開発やシェアリング対応ができないメーカーはなくなる」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★アメリカにおける物流事情(トラック)と労働環境

・本年4月1日から、

「州を跨ぐ物流(長距離)の運行に関する時間的規制が厳格化」

※1日の運転時間は11時間、実運転時間8時間で30分の休憩、1日で14時間を超える就労は違反、
運行日数は2週間運行後に3日の休暇。※ちなみに日本では就労違反(最高拘束時間3516h)です。

・アメリカのトレーラートラックの95%が個人所有(オーナードライバー)その全車両に

「電子ログ記録装置(ELD)取付け義務化 & ネット回線で統括管理」

※違反が4回を超えると、車両停止命令。各社が運行管理業務に縛られている日本とは全く違います。

・高速道路には

「区間ごとに台貫車線(Weight Station)が設置」

※トラック及びバスは台貫車線通行時に重量オーバーが確認されるとその場で停止です。
   

・ほぼすべての運送会社が、

「業務・総務・情報等はクラウドによる一元管理 & 自動配車システム」

※カーボンエクスプレス社、バルク車専門、68台(136台)保有、見た目アナログですが、視察団の細かすぎる質問にも、担当部長がスマホで確認して即答してくれました。
   

・ドライバー年収は、就労時間及び物価から比較すると日本より若干高い程度。

「州を跨ぐ運行(長距離)で900万円程度」

・米国は3%の経済成長を継続しており、景気は非常に好調、失業率は5月時点で3.8%、ドライバーに限らず人手不足。

「ドライバーの平均年齢57歳で高齢化が顕著」

「今後10年間で100,000人のドライバーが不足

※本年4月の時間的規制の厳格化以降、収入の歩留まりがはっきりしたためドライバーの離職率が高まった

・商慣習や考え方は、

「職種に対しての執着がなく儲からなければ撤退するが主流」

※1980年の規制緩和で会社の多くが統廃合。規制緩和で業者数が増加したままの日本とは全く違う。
※就労&運行違反はオーナー乗務員自身、自動車事故等や管理体制問題に起因する、調査等がありえない。
   
※車両整備等については、基準が違うのか?規制のせいか?コストが大きく違う。例:タイヤ(価格は同じですが3年もつ)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★「第四次産業革命」とは、

「あらゆるものがネットワークにつながり(IOT)、膨大なさまざまな
情報を収集、その情報を人口知能(AI)が解析し、そのビックデータを
活用し、機械やシステム等を制御していくことによる産業動向の変化」

※経産省では、第四次産業革命で、経営・商品企画・製造・調達・管理部門で543万人が仕事を失うと試算。
※内閣府では、AIによる自動化はさまざまなコストの削減だけでなく、労働人口問題の解決策として注目
参考:「内閣府の日本経済2016-2017 第4次産業革命のインパクト」

 

・今回の視察を通じて我々は、第四次産業革命とは、新たな産業構造だと確信しました。

「AI、IOT、ビックデータを利用して生まれるイノベーション」
=「既存の枠組みを破壊する行為そのもの」


※イノベーションとは、物事の・新結合・新機軸・新しい活用法を創造する行為です。

イノベーションには効率性を追求するためのものと、創造性を追求するためのものがあります。
我々が今取組んでいる様々な形態の3PL事業も効率性を追求するためのイノベーションです。

しかし後述した創造性を追求するためのイノベーションは、ともすれば我々の「運ぶ」という行為すらも飲み込んでしまうことすらあることを知っておいたほうがいいと思います。

 

トレンドは、「デジタルトランスフォーメーション」

現在のキーワードは、「シェアリングエコノミー」

・ベンチャーキャピタル※の殆ど(400社)がシリコンバレー。
※ベンチャーキャピタルとは、イノベーションを起こすスタートアップ企業(ベンチャーIT企業など)を資金だけでなく、営業、法律、財務など、不足な知見の全てを支援する会社で、CTC(伊藤忠テクノソリューション株式会社)もそのひとつ。

デジタルトランスフォーメーションとは、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念で、IT利用による業務プロセスの強化や、業務の置き換え、ITと業務のシームレス化できるスタートアップを支援。
※シェアリングエコノミーとは、世の中に余っているモノや人、スペースなどを、必要としている人に貸し出す形のビジネス

 

「デザイン・シンキングは、イノベーションを起こすプロセス」

・「SAP」は、2004年から「デザイン・シンキング※」を導入し、あらゆる分野で様々なイノベーション事業を起こしました。売上高は3.2兆円で2004年の2.5倍、純資産額14兆円(ドイツ最大)、現在「デザイン・シンキング」の総本山。
   
※デザインシンキングとは、潜在的ニーズを掘り起こし、プロトタイピング(試作段階からユーザーに利用いただきユーザー要望を反映させながらシステムを繰返し開発する)を通じて課題とソリューション(解決する方法)を検証する手法
初期のPCやiPodやWiiなどもデザイン・シンキング
で生まれた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★有名なイノベーション企業
   
・先ずはタクシー業界の「Uber」、Uberの自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリは、現在は70カ国450都市以上。
在米アメリカ大使館でお伺いしたところ、職員100名のうちタクシーを利用している人は1名だそうです。なぜタクシー利用なのかの質問に帰ってきた答えは「使わないとタクシーがなくなってしまうから」ですから、いかに凄いかがわかります。
・続いて民泊業界の「Airbnb」、現在では体験そのものも商品として取り扱っている世界最大の民泊情報サイトです。
バケーションレンタル業界という言葉さえ生まれました。日本でホテルの予約がインターネットで行われるようになったのがここ10年、現在85%がインターネット予約です。
このAirbnbによって生まれた新機軸は、「既存のインターネット予約事業までも飲み込もうとしています。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★ここで我々に近いところでの事例を言うと

・前述した「Uber」ではウーバーラッシュやウーバーイーツという個人向けの配送サービスを始めました。これに最も打撃をうけたのが米国大手の「UPS」。その後「UPS」が、輸送のオンデマンドサービスを開始しました。

「運ばない物流(3Dプリントのビジネスモデル)にイノベーション」

「UPS」は現在3Dプリンターを世界一所有する会社になりました。※前述のローカルモーターズ社「電動小型バスOlli(オリー)」も3Dプリント製造(製造時間44時間)。これは輸送そのものの形態を変えるイノベーションなのです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★イノベーション企業の多くが、資金を市場もしくはベンチャーキャピタルから調達します。初期の収益に関わらずその評価額によって資金力が極端に潤沢であることが特徴です。UPSでさえ大きな打撃を受けたのです。「OTTO」は「Uber」に飲み込まれました。因みに「Uber」「Airbnb」はユニコーン(評価額10億ドル以上)です。世界の金融動向から考えても、おそらく「この形態の起業」や「イノベーション」が主流になります。日銀は7月31日、金利上昇の容認を決定しました。これは、金利抑制の弊害を無視できなくなった(金利は上昇局面を迎える)ということです。

「資産担保型で資金調達する業界は飲み込まれる」

・これまで説明したイノベーションを誘発(運用)する形態(会社)には、いくつか種類があります。

・CTC等のベンチャーキャピタルのように初期の「スタートアップのイノベーション」をフォローし展開するもの
・SAPのように顧客や自社の疑問・要望・発案を自社の中でイノベーションとして具現化していくもの
・また一般から発案を探し自社の中でイノベーションさせていくもの

ここで、イノベーションを募集し、共にデザイン・シンキングする企業のPR映像がありましたのでご覧ください。これはシリコンバレーで我々が研修した内容によく似ていますので、本報告では解りづらかったことが伝わると思います。

 

・創造的破壊はもはやスタートアップ企業だけのものではない(IBM イノベーション・ガレージ)

「AI・IOTに関わる企業の全てが、イノベーションを模索し、それに投資しようとしています。」
「我々に有益なものもあれば、我々を飲み込んでしまうものもあるということを知って下さい。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★今回の視察を通して、これまでのモノや仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れ新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすイノベーションは、常に急激な変化(新たな収益構造)を求めています。これは技術の発明や化学の進歩とは一線を隔する内容で、日本では社会構造的に受け入れがたい感覚と、若干ではありますが乗り遅れると大変なことになるという恐怖感を感じました。
運輸や倉庫を事業の根幹とする我々は、既存の体制や流れの効率化というイノベーションには取組んでいます。しかし

「創造的(破壊的)イノベーションに対しての準備が必要」

かもしれないのに、国内の既存の法令等によって守られているからか「気が付いてもいない」と感じたのも事実です。

2015年国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」や、最近耳にする「ディープラーニング」は、今以上にイノベーションを誘発させそうです。我々に必要なことは、急速に変化する時代の先端思考を見失うことなく、そのプラットホーム(落着き先)を見定めて変化していけることです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

★今回の「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」を経て、我々自身が大変勉強になりました。そして今回の研修を通じて参加いただいた皆様の間に強固なネットワークが構築されつつあることも事実で、それは必ずや参加者相互の有益性に繋がると確信しております。

★「米国運輸産業並びに第4次産業革命等視察研修」は、事前研修2回・米国出張研修8日間・事後研修1回で構成しました。今回の報告は、米国出張研修8日間で強く感じたことをのみです。事前事後研修・米国出張8日間の各視察先での研修詳細についてはふれておりません。10月3日の事後研修以降すべての研修詳細を「(一社)埼玉県トラック協会HP」に公表リンクいたします。ご興味があればご確認頂ければと思います。

★結びにあたり、この研修の発案者である埼玉県トラック協会「鳥居会長」に、そして本研修のアシストを頂きました日通総研「大島取締役」に感謝申し上げますとともに、ご参会の皆様のご健勝並びに各企業のご発展をご祈念申し上げ、報告といたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

   

ご清聴ありがとうございました。

 

「CARBON EXPRESS INC」

こちらが「CARBON EXPRESS INC」、やはり「DRIVERS WANTED」
   
社長と部長に丁寧に対応いただきました。スーツの方は通訳さんです。
   
やっぱり、コンボイはでかいですね、みんな興味津々で眺めてます。
   
バルク車を65台保有と言ってました、130台保有ということですかね。
   
トレーラーには、ベースフレームがありません&タイヤはこの大きさです。
   
車検はありませんが、点検規制はあるようで、全て自社で行っています。
   
取引伝票以外、運行&業務は全PC管理、質問にはなんでも即答でしたよ。
   
配車も自動配車システム・・・、でも何をみんなで相談しているのか?。
   

1983年に設立した、ニュージャージ、ワートンに本社のある液体のバルク運輸を専門とした運輸会社。潤滑油基油や他の石油製品の運送では業界のリーダー的存在で、安全を一番のプライオリティーと位置付け、2009年には全ての車両から、寝室兼用運転台(SleeperCab)を排除。社内でも議論となったとのことだが、モーテルでドライバーに休息を取らせることにより、ドライバー、路上での一般への安全性が確保された。

先方からのプレゼン

・保有車両台数は65台(トレーラシャーシを除く)。米国の運送事業者の平均保有台数は約40台。
・当社の運行では、例えばアラスカまで片道4,000マイル以上、片道で10日間かかる長距離運行がある。
・1960~70年代には長距離運行のドライバーは、ほとんどモーテルに泊まっていたが、2010年に、ベッドスペースのあるスリーパートラックは全てベッドレスに代替えし、ドライバーはモーテルで宿泊するように変更した。理由は2つ。1つは積載量を増やすため、2つめはドライバーの労働条件改善のため。
・ドライバーの賃金は、平均6~7万ドル、長距離ドライバーで平均7~9万ドル程度。
・当社のドライバーの最高給は、9,200ドル。日本の2倍近い水準である。一運行が約2週間のドライバーのケースで、運行後2~3日休日をとるパターン。1日の労働時間が約14時間、うち約11時間が運転時間。休憩時間は8時間の後に30分。
・このような運行は、ドライバーの確保が難しい状況となっている。
・車検は、1年、2年、5年ごとにあり、通った証拠としてステッカーが貼られる。自社でのトラクタのメンテナンスは2万5千マイル毎に、トレーラは3ヵ月に1回実施している。
・車両は20~30年使用している。自社整備しており、適切に整備すれば長く使える。
・このタンクトレーラの積載容量は7,000ガロン。アメリカではタンク内は横に仕切っている。日本の場合は縦の仕切りと聞いている。日本のように縦のほうが横揺れと縦揺れの違いで安全だと思う。おそらく製造コスト優先とのことからと思われる。
・一般的なバン型トレーラの全長は53フィートだが、タンクトレーラは重量がかさむため全長は42フィートでこれが平均的な長さ。長さの規制は州による例外があると思うが、政府によって決められているはず。
・最大積載量は80,000ポンド(36,320㎏)とのこと。高速道路や州によって重量が異なるケースがある。
・当社のドライバーの一人は、ATA(全米トラック協会)のキャプテンを務めている。
・ATAでは、学校などに出向き免許取得前の人達に、安全運転の指導を行っている。例えば55マイルのスピードからの制動距離がどのくらい必要か、83,000ポンドの重量だと60フィートはかかるなど。またトラックの死角の指導も。
・当社は、2016年にトラックの安全性を非常に高めたということで表彰された。
・当社では、全車両をリアルタイムでトラッキング(追跡)している。
・配車は、コンピュータにて重量等を加味した計画を立てている。

視察団からの質問

Q.使用しているタイヤは。使用距離は?
A.日本と異なる雪道でもOKな溝の深いもの。35万マイル(約50万㎞)程度まで持つ。年間走行距離が約12万マイルなので3年程度持つ。最も持ちがよいのはブリジストンとミシュラン。また、スーパーシングルというワイドタイヤも使用しているが、これはそんなに持たない。
Q.トラクタの新車価格は?
A.約13万1千ドル(約1,400万円)。
Q.危険物輸送に必要な資格は?
A.全てのドライバーが危険物輸送の資格(試験で取得)と、港湾での積み降ろしに必要な身分証明の資格(申請のみで取得)を持っている。これらの資格は、一般的にはドライバー負担で取得するが、当社では会社負担で取得させている。
Q.ドライバーの定着は?
A.当社の場合は非常に長く働いてくれるドライバーが多く、ターンオーバーは少ない。
Q.初任ドライバーの教育研修と、その後のサポートは?
A.当社では約4年前から、21歳からの若いドライバーを雇うようにした。トレーニングは6か月程度。
Q.AIや自動運転についての考えは?
A.自動運転によってトラックドライバーが不要になる(リプレイする)ことまでんはならないと思う。
Q.ドライバーの平均年齢と離職率は?
A.当社では平均45歳。業界全体では57歳と聞く。高齢化は大きな問題である。大手のトラック会社では離職率はほぼ100%。当社は低い。

 

Aグループ報告(田口・古谷・杉本)

   
1 訪問先企業による説明概要
・ニューヨーク郊外の1983年設立の液体輸送に特化した会社で2016年に全米トラック協会から表彰受けている。
・2009年にSleeperCabを無くして休息にモーテルを利用。
・アメリカでもドライバー不足である。
・教育研修として6ヶ月で、ドライバーの平均年齢は45歳で女性1名、業界平均は57歳。
・保有車両は66台(トレーラーシャーシを除く)年間1000万ドルの保険を保険料33万ドルで加入している。
・平均給与は6万ドルから7万ドル位で長距離の稼ぐ人で9万2千ドルになる。
・2週間の運行で3万ドルの運賃になり、1日約14時間拘束で約11時間運転の8時間で30分の休憩し、運行後23日の休日になります。
・ドライバーの離職率は年25%で大手のトラック会社はほぼ100%。
・危険物免許有り(3082 環境に問題が出るものを運んでいる)
・スーパーシングルタイヤは良くない。(ワイドタイヤ)
   
2 説明を聞いて感じたこと
・乗務員の年収が60,000~70,000ドルというのは、現在為替を仮に105円/1ドルを基準として±15%とすると、90円/1ドルであれば、540~630万円、115円/1ドルであれば、690~805万円ということになる。物価の水準と現実の就労時間からすると日本とあまり変わらないというのが感想である。但し長距離乗務の場合、最高で920,000ドルということなので、828~1,058万円ということになるが、これは日本ではありえない金額である。
・SleeperCabを無くしてモーテル利用の理由が建前と違って積載量を増やす為だったが、結果としてドライバー満足が向上しているのは長距離輸送をする会社には参考になるのではないでしょうか。(アメリカでも車中泊を出来る場所が無くなってきている)ただ、モーテル利用の休息について日本における標準貨物運送約款には、下記のように、貨物に対し一定の監視義務があります。
(責任と挙証)第39条 当店は、自己又は使用人その他の運送のために使用した者が貨物の受取、引渡し、保管及び運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、貨物の滅失、き損又は延着について損害賠償の責任を負います。
各地のサービスエリアやトラックステーションに駐車していたとしても、貨物看護は必要です。一定のセキュリティー状態で監視義務を果たしているという状態が通説化すれば日本でも、長距離輸送時には大いに参考になろうかと思います。
・少なくとも自社より進んでいるIT利用
★インタビュー中、保険料を聞かれた際に、スマホを利用して確認をしていた。もちろん見るだけなら技術的には充分に対応できるレベルであると思うが意思決定まで進んでいるのかどうか。また日本でも最近は各車両に燃費情報なども出てくるがドライバーが持つスマホから、整備情報、燃費情報、配車情報などにアクセスさせることで社内間の連絡業務などは、充分に効率化できる余地があると感じた。
★事務所内での配車画面は(少ししか確認できなかったが)、自社より進んでいると感じた。液体輸送という特徴もあろうが、荷主・車種・仕向地などのマスター管理を充実させ配車マンの頭の中にある情報を可視化しているレベルではないか?。将来AIに配車業務を学習実行させるには先ずペーパーレスの実現と過去データの整理が重要と感じた。
・ブリヂストンのM726という見たことのタイヤを履いていたが、35万マイル(約50万㎞)程度までもち、年間走行距離が約12万マイルなので3年程度もつ。パターン、硬さ、溝の深さの違いと交通事情等の違いは有ると思うが、かなりもち雪道もOKなので日本に導入されないのは何故だろう。
3 その他
林の中に事務所が有り、素敵な環境でした。

 

Fグループ報告(清水・池永・柳原)

ニュージャージーはニューヨークに隣接しており、さながら東京に隣接する埼玉の様。そこにある当該企業は、長距離主体の危険物輸送で、平均的な米国でのドライバー給与では高額の部類。しかしながら、既存乗務員の高齢化と新規での入職者は不足している状況。
自社の管理下にある広域に存在する車両と貨物のマッチングを一元管理したモニター上で配車している。管理費用を合理化し、車両の構造変更による積載量の向上等で効率を上げ利益率を確保する傍らで、人員が高齢化していく既存乗務員への配慮をしたモーテル等での仮眠を推奨し、結果的に安全や健康に配慮した環境改善が出来て、乗務員の満足度向上を図ることに成功していた。
雇用制度は違うが、労働力不足を解消する手段と会社の永続的な経営のバランスを図る点で、利益確保=賃金確保、環境改善=定着率・雇用継続率向上は、現在の日本のトラック業界にも必要な経営方法であると言える。

« Older Entries Newer Entries »

ページトップへ戻る