グループF(清水・池永・柳原)
平成30年度 未来想像委員会 委員長 清水英次
ニューヨークは、道路整備がされていない。インフラが1920年代のままらしく、区画整理は整っているのに運転はしにくい感じ。二重駐車をはじめとして路上駐車が多く旅客車両や配送事業者は苦戦をしている感じ。クラクションが町中に鳴り響いている。工事もいたるところであり、道路交通機能としては最悪な感じ。東京よりも酷い。
米国人口は増加、輸送需要も増加しているのに対し、供給が不足している。
荷主に対する交渉がうまく行く環境が整っているのに対し、ドライバー不足の現象が起きている。仕組みは違うが、日本と同じ状況を感じる。ドライバーのステータスとしては、3Kに象徴されるように、労働に対しての生活や報酬のバランスの悪さが多くの人から受け入れられていない職業という認識を感じた。
日米のトラック業界は、DHL・UPS・FEDEX等の従業員満足度の高い企業から営業政策や雇用環境改善政策など、給与と労働のバランスの最適化条件を学ぶ必要がある。
労働力不足問題は、政府や荷主企業と共有しているが、最適なバランスについては、トラック事業者との3者間での真の共有が図られていないのが問題ではないかと思う。
環境問題についての認識は、制度上の目標値はあるものの、実態の実施機運は日本よりは薄いと感じる。メーカーの開発依存にしているところは、日本の行政と同じ。
物流事情の違いは、その移動距離の長さに有るといえる。また、ドライバーの雇用体系の違いもあるが、その職業を目指すものが少ないところは、日本と同じワークライフバランスの悪さが浮き出ていると思う。むしろ、アメリカの方が人口増加・移民等の労働人口では羨ましい環境下でも不足しているところを見ると、バランスの悪さはアメリカの方が深刻に見えた。
残念ながら、先進技術、先進的なインフラを導入している物流事業者の視察は適わなかったが、米国でのテクノロジーを駆使した物流効率化へのチャレンジのスピードは、日本を上回っている。
今回、ATAやシリコンバレーIT企業を視察するにあたり、米国経済での産業をまたいで共通するキーワードを感じることができた。
①シェアリング・エコノミー型サービス
②自動運転による輸送の無人化(ドローン・デリバリーロボット・トラックプラトーニング=隊列走行自動運転)
③AI・機械学習による物流の自動化と最適化
事前に講義を受けたことや、メディアに掲載されていた内容(東洋経済オンラインによると)から、日米物流企業だけでなく、世界の産業全体におけるIT化の潮流が、前述の3項目にあることが感じられた。
①については、カーゴマティック社は、荷主とドライバーをリアルタイムでマッチングするサービスを提供しているらしい。BOX社でのUPS社へのコンサルティング事例は、これにあたると思う。日本でも「求貨・求車サイト」をはじめとして、新しいサイトがアプリなどを使って、リアルタイム・モバイル化を図っている。さらに、米国ではアマゾンフレックスというウーバーのような、一般の人に配送を委託するサービスを実施しているらしい。
②においては、ドローンによる荷物の配送、アマゾンのプライムエアーなどの試験が契機となり、Google・DHL・米国セブンイレブン・楽天などの企業がトライアルをしている。日本でも離島を皮切りに、2020年代以降に都市部を含む地域での実用化を目指すロードマップがある。また、スターシップテクノロジーズ社は、オペレーターを通し、監視可能な自動配達ロボットを開発し宅配をテストしている。しかしながら、日本と米国の違いは、こういった実証実験が始まるスピードが米国の方が早く、問題点や実用化までの道のりが違い過ぎる。シリコンバレーSAP社で学んだ、解決すべき問題(超人手不足)へのプロセスにおいて、「早く・安く・たくさん試すこと」が日本には足らないのではないか。
③においては、AIによる作業を増やすために、ディープラーニングや既存データの収集、蓄積が重要であり、ビッグデータからAIが学習し、認識・予測・合理化の計画を行い、最適化を図ることまで行える。経験則に基づいた作業に依存している、倉庫や配車、時間管理など、物流企業・運送事業者には、革新的かつ、最も必要な技術ではないかと思う。自動運転などの国家規模のインフラ整備を必要とする技術革新に対して、内勤者やデスクワークでの省力化は取組み次第では早い段階での転換が予想できる。
カーボンエキスプレス社やLocix社で経験したデータの一元管理、カメラ、センサーでの作業導線のデータ化を駆使していくと、蓄積されたデータをAIに落とし込み、配車でのマッチング作業、車両・人員計画、作業のロボット化、得意先の情報システムとのAPIでの連携を図れば、物量に合わせたスケジュール管理も機械化できる可能性を秘めているように感じた。
物流業界全体での労働環境改善は、国家レベルでのインフラ投資の計画が重要で、ATAの様な政府・議会へ対してのロビー活動など全ト協などへの協力が欠かせないと思う。個別での環境改善としては、自社の作業のデータ化。蓄積を行い来るべき機械化普及の時代には即座に呼応できる準備をすべきだと思う。社会的地位向上やこの業界で働く人を増やすには、ワークライフバランスの最適化を図り、他の産業に引けを取らない環境改善とブランディングをし続けること。現場の機械化よりも、当面は内勤作業(構内作業)や、事務職(配車・請求・経理・労務管理)などの販管費削減への目標をシステムの導入など得意先企業と図り、推し進めることから準備することであると思う。その省力化し、得た利益で来る現場でのインフラのIT化、AI化への投資能力を蓄えておく必要があると思う。
株式会社エー・シー・トランスポート 池永 和義
今回の視察では、米国物流産業視察を通しアメリカの運送業の最新動向や、日本では見られない働く時間つくり、そしてEC物流先進国アメリカの取り組みを目の当たりにすることが出来た。また、Uberなど今まで経験したことがないものを体験出来たことは、自分にとってとても刺激的でいい経験が出来た。
CARBON EXPRESS社は、ニュージャージー、ワシントンに本社のある液体のバルク運輸を専門としている運送会社である。
最初に、ウエルカムボードでお出迎えしていただき、とても嬉しく感じました。Steve Rush社長から、事業内容、運送の部分についてお話しいただきました。
アメリカには車検がないと思っていたが、年に一度の車検整備、25,000マイルごとに整 備(日本の3ヶ月点検)をしているとの事で、驚きました。やはり、危険物を輸送しているので、ちょっとした車両故障が大惨事を防ぐための危機管理がしっかりしていると感じました。また、長距離のドライバーをしっかり休ませる為に、トラックの寝台で寝かせることをやめ、寝台がないトラックに入れ替え、効率の良い輸送体制に切り替え社員満足度向上にもなっている。
労働時間については、8時間運航して30分休み14時間まで運転でき、2週間運行したら、2~3日休んでまた運行できると聞いてビックリしました。日本では293時間から、更に働き方改革により削減されようとしている。もっと、アメリカスタイルをまねてもらいたいと思いました。ドライバーさんの年収も長距離ドライバーで92,000ドル(日本円で約1000万円)、地場輸送で60,000ドル(日本円で660万円)と現在の日本では稼げないモデルである。
離職率も、25%と高いイメージがあるが他の会社であれば100%だという。少しでも、サラリーが高い所にすぐに移ってしまうのが個人責任の強いアメリカっぽい所だと思いました。平均年齢57歳と高目に感じるがカーボン社では79歳のドライバーさんがいる。社長より3つ年上だが、安全運転で事故は無いらしい。素晴らしい!!!
ランチまで用意してくれてホットドック、バッファローハンバーガーを調理してくれました。みんなで一緒にランチタイム!!お土産までいただきました。
ビジネスモデル体験 Uber(ウーバー)
ウーバーとはアメリカの企業であるウーバー・テクノロジーズが運営する自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリである。
特徴としては、一般的なタクシーの配車に加え、一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みを構築している点で、顧客が運転手を評価すると同時に、運転手も顧客を評価する「相互評価」を実施している。
利用者はウーバーにクレジット番号を登録し、スマホに専用アプリをダウンロードする。タクシーが必要なときはアプリを開いて地図をタップすれば、近くにいるウーバーの契約ドライバーが駆けつけてくれる。料金はアプリで自動的に決算される仕組みである。
≪特徴≫
・乗車位置、目的地を指定(タップ)するだけ
・車両の到着時間もわかる(地図上、逐一到着時間と車の位置が表示される)
・料金は一般的なタクシーよりお得で、事前登録したクレジットで決済
・言葉を話す必要がない
今回、移動の際にウーバーを利用した。
①目的地を入力 ②車種を選択 ③乗車位置を指定
④近くのドライバーを探す ⑤ドライバーが確定し到着時間が表示 ⑥ドライバーの顔もわかり安心。
⑦車両の場所と到着時間は逐一更新 ⑧乗車すると目的地までの経路と時間が表示される
⑨到着後支払不要(自動決算)、ドライバーが安全運転をしたかなど★1~5で評価する
西武通運 柳原 絵里沙
初日に訪問したカーボンエクスプレス社は潤滑油基油や石油製品の輸送では業界のリーダー的存在である。安全が最優先事項だと考え、2009年に寝台車を廃止した。ドライバーはモーテルで休憩をとることで健康への負担を減らせ、寝台分の積載量が増えた。
人口増加している米国でもドライバーの高齢化問題は拭えない。カーボン社の平均年齢は日本(埼玉)と同じ45~46歳であるが、米国は定年制度がないため最高年齢79歳のドライバーがいる。女性ドライバーは1名である。米国の物流業界全体の平均年齢は57歳である。平均年収6~7万ドル(日本円約660~770万円)長距離ドライバー7~9万ドル(日本円約770~990万円)と日本よりも高く感じるが、物価が高いためとても高賃金とは言えない。米国は人口増加しており、雇用者数も増加しているにもかかわらず若い人材が集まらないのは日本と同じように物流業界が他業界より待遇が低いからではないかと考える。
カーボン社は片道4,000マイル(約6,400km)10日間以上かかる運行がある。2週間(1日14時間労働 8時間運転後30分休憩)出勤し3日休みとなるためドライバーの確保が難しい。しかし、大手企業に比べると離職率が低い。カーボン社の離職率が低い理由の1つにドライバーの健康が配慮されていること、家族のような温かみのある会社であることが挙げられる。敷地内には社長がトラックのホイールで手作りした暖炉がある。暖炉のまわりにはガスが通っており、時折、社員とその家族で親睦会が開かれている。
在アメリカ合衆国日本大使館の説明によると、日本と同じく若い人の車離れが顕著である。ただし、生活エリアによっては車がないと生活ができないため、都市部では車離れが、それ以外では1人に1台の社会である。日本の都市部と地方と同じ状況である。
日本よりもカーシェアリングが進んでいる。特に「Uber」が挙げられる。Uberとは登録をした自家用車でタクシー業務をすること。日本の場合、白いナンバープレートの自動車でタクシー業務をすることは法律上禁止されている。私も実際にUberを利用したが、イエロータクシーよりも料金が安く、スマートフォンのアプリから行先を入力しクレジット決済をするため言葉を交わさなくても目的地まで行くことができた。乗車前に行先と料金を決めるため不当な料金を請求される心配がなく、料金メーターの確認が不要である。利用者は乗客の口コミ、5段階評価を見ながらドライバーを選べるため安心である。逆に利用者からの評価があるため、ドライバーは車内の清掃等を怠らない。日本では自家用車での人や物の輸送を禁止しているが、自転車、もしくは125CC以下の原付バイクで配達する「Uber Eats」は都内を中心に日本でも普及している。規制が緩和されれば日本でもUberが普及するのではないか。
今回の米国研修にて、バス移動をしていると舗装されていない道路が多々見受けられた。高速道路、大通りでも道路事情が悪い。ニューヨークでは通り沿いに大きなごみ袋が山積みになり、ソファーやベッドマット等の大型家具も捨てられていた。街並みは綺麗で栄えているが、ごみ袋の山積みが景観を壊していた。ニューヨークでは粗大ごみも無料で可燃ごみと一緒に引取してくれるため、このような状況になると思われるが、イメージしていたニューヨークとは少し違い残念であった
米国日通ニューヨーク引越輸送支店の海外引越は通常期13チーム繁忙期20チーム(1チームドライバー+助手2名)稼働している。弊社(通常8チーム繁忙期15チーム)よりも多い。人手不足の中でも人が集まるのは弊社よりも研修システムが確立されているからだと考える。日本人スタッフが外国人スタッフとともに作業するにあたりユニフォームを着用する、玄関先で靴を脱ぐ、トイレを借りる等の初歩的なマナー教育から始まる。社内には梱包研修スペースがあり、OJT制度で事務、現場が協力して半年間教育する。2か国語のマニュアルがあり、指導も徹底されている。「現場は研修場ではない」という雰囲気が強く感じられた。また、自動外装ラップ巻き機がありぜひ弊社にも導入したい。