グループA(田口・古谷・杉本)

平成30年度未来想造委員会 副委員長  イズミマトリックス株式会社   田口 智一

【1 視察先アメリカについて】
青年部会の関東ブロック大会が目前に迫り、若干、出国にためらいもありましたが、今回の視察研修に参加させていただき本当にありがとうございました。未来想像委員会で様々に検討を重ね、アジアはどうか?ベトナムは?などと意見も出ましたが、やはりアメリカ、シリコンバレー、視察先としては正解だったと思います。
個人的にも私のアメリカへの思いは実は一昨年、2016年からありました。関東の青年部の仲間が有志でアメリカへ行き、シリコンバレーの様子を群馬県伊香保で発表してくれたのが2016年の秋、そして2017年の秋には、京都で全日本トラック協会青年部会の近畿ブロック大会が行われ、そこで発表されたのが、アメリカの例でドローンを使った棚卸し(写真1)の話です。(写真2)は先端産業課のレクチャー資料の一部です。
(写真1) (写真2)
そして2018年の今年。埼玉の青年部会で運営を行なった関東ブロック大会の研修会テーマが『AI・IOT』。関東ブロック大会の準備も兼ねて埼玉県の先端産業課の方のレクチャーも聞きましたし、本場アメリカの様子はいつの日か見てみたいと感じていたところです。
【2 第4次産業革命への認識】
もちろん、日本の物流は世界トップレベルで高度化されており、物流の技術についてはアメリカと比較しても日本が進んでいるとは思っていますが、AI・IOTについてはアメリカに敵いません。AI・IOTが世の中に与える影響、いわゆる産業革命の芽をいち早く察知し、私たちの物流業がどう変わっていくのかを感じたいと思ってました。

ちょうど今年に入ってから、弊社の取引先で入出庫のシステムを新たに取りいれることになりました。ベテラン作業員でないと商品を取りに行けない、そんな古いシステムを使っていたのです。2月からシステムを稼働させましたが、昨日今日入社した作業員がベテランと変わらずにピッキングを行っていく様子を見て、産業革命の意味を改めて理解をしました。今回の視察研修の中で言えば、サンフランシスコ日通の業務システムに非常に興味を持ちました。料金タリフや各種マスターを整え、そのデータを使い瞬時に解答へと導くのは、旧来の人間系オペレーターに代わるものとして将来発展、AI化していくのだろうと推察したところです。
▼ (写真3サンフランシスコ日通での説明資料)

【3 感じたことを忘れないために】
物流業にとっての来たるべき第4次産業革命とは何か?当然未来の話ですから誰にも分かりません。ただ、私が会社を経営しているであろう、今後の10年、20年の間には必ずや訪れることは間違いありません。アメリカで感じたものを忘れなければ時流に沿った経営ができるはずです。そこで、記憶の中に今回の視察研修をとどめておくために(アメリカを忘れないように)自分の会社に少しだけ″アメリカ″を加えてみました。
記憶をより確かなものにするために、実はこんな体験もしてきました。マクドナルドで注文(当然UBERもあり=写真7)、まったくJapanglishが通じません。地下鉄に乗る(写真8)。まったく分からない都市でひとりで地下鉄に乗るのは結構な勇気も必要でした。学生時代にパリで乗りましたが、その時の雰囲気や様子は20年経っても忘れてません。今回地下鉄に乗ったことで、今回の研修については20年経っても忘れることはないと思います。
(写真4▼)                                  (写真5▼)         (写真6▼)
  
(写真7▼)                                  (写真8▼)
 

【4 視察研修を通じて】
第4次産業革命の物流・交通分野への影響はMAASと呼ばれるMobility-as-a- Serviceです。ライドシェアの高まりは、いずれモノの分野にも入り込み、個人や会社が所有するクルマではなく、イノベーターから生み出されたサービスに、私たちトラック所有の会社がどう協力していけるかがカギになろうかと考えます。いま感じているそんな『ぼやっとした』イメージを持ち続けながらこれからの20年、地下鉄の記憶とともに会社の社会適合を図っていくつもりです。

【5 最後に】
瀬山団長はじめ団員の皆さんにはたいへんにお世話になりました。産業革命の芽を感じることができた視察研修でしたが、普段業務の喧騒から離れた場所で時間を過ごした仲間ができたことは非常に有効な研修であったと感謝しております。このような機会をいただいた埼玉県トラック協会に感謝申し上げます。

 

平成30年度未来想造委員会 委員  青翔運輸株式会社   古谷 隆之

瀬山団長、参加の皆様大変お世話になりました。初めての海外研修で、しかも英語も分からい中での参加でしたが楽しく研修を終えることが出来き、ありがとうございました。鳥居会長をはじめ協会の職員の皆様、お心遣いありがとうございました。
まず、参加の理由としてAI、IOT、自動運転に興味が有ったのと未来創造委員会に推薦され任命されたからには、アメリカの物流の仕組みや規制等、日米の違いや先端事例を百聞は一見に如かずと思いから折角の機会ととらえ参加しました。Tesla、NVIDIAと行きたいと思っていた2社がキャンセルになりGoogleとUber は元から予定無くて視察出来ず非常に残念でした。自動運転での事故がニュースになっていたのでキャンセルは仕方無いですが、Googleは、本社の周りで自動運転の実験をしていたみたいなので、その実験風景ぐらいは見たかったなと思いました。
アメリカに着いて思ったのがサービスの考え方が違うのかなと、バスに乗って思いました(写真1、2)。ドリンクホルダーやシートポケットが有りません。タバコ吸わないので、私はいりませんが灰皿も有りません、当然エチケット袋も有りません。日本のおもてなしと違うなと思いました。シートベルトだけなので安全に送迎すれば良いとの考えかたかなと最初は思いましたが、途中で日本では当たり前になっているが過剰サービスなのか?トラックでの車上渡し以外にドライバーさんが当たり前になっているのと一緒なのかと考える機会となりました。窓がスライドでなかったり、カーテンでなくスクリーンだったりとの違いも有りましたが、シートベルトは安全というよりは横揺れやブレーキ時に必要で、あんまり安全運行に感じられませんでした。また、途中で分かったのですが床やシートの汚れや臭い等、ドライバーさんの自腹らしくカップコーヒーやお菓子等は駄目とアナウンスが有りました。アメリカのトラックはオーナードライバーが多いそうなので、もしかしたらバスも、そうだったのかもしれません。
(写真1▼)                (写真2▼)
   

◎CARBON EXPRESS INC
1983年設立のニューヨーク郊外の林というか自然の中に有る素敵な会社(写真3)で、全米トラック協会から表彰される程の液体輸送のリーダー的な存在企業でした。
2009年にSleeperCab(寝室付き)を無くしてドライバーをモーテルで休息させ安全を確保したとの事であるが、実際は輸送量を増やす為にSleeperを無くしモーテルを利用したところ従業員満足が上がったとの事、またトラックで寝ていれる場所も無くなってきている事情も有り結果として会社にもドライバーにもいい結果になった事例でした。
当社は長距離をやらないが長距離をやる会社にはいいヒントになるのではいでしょうか?日本では高速の数少ないハイウェイホテル位しかトラックを駐車出来ないと思いますが、フェーリーが休息になりましたし、フェーリーの利用と併せてホテルの利用を検討してもよいのではないでしょうか。
積載を増やす方ですが当社でも架装減トンが問題で、対応に苦慮していますが、日本では通称4t車が平でも箱でも3t取れなくなってきています。お客様は4t車だから4t積めると思っている方が多いと思いますし、中型免許用で作ると積載は取れますが免許の問題と高速料金が大型料金になってしまいます。
アメリカでもドライバー不足との事ですが、CARBON社では平均年齢が45歳で女性が1名いて平均給与が6万ドルから7万ドルになり長距離で稼いでいる人が9万2千ドルで、2週間の運行で3万ドルの運賃になります。州によって違うと思うがトランプ大統領の記事の中でトラックドライバーの平均年収が4万1千ドルって見た記憶が有るので、他社に比べると良い給与になります。
(写真3▼)                (写真4▼)
   
ブリヂストンのM726という見たことのタイヤを履いていたが、35万マイル(約50万㎞)程度までもち、年間走行距離が約12万マイルなので3年程度もつ。パターン、硬さ、溝の深さの違いと交通事情等の違いは有ると思うが、かなりもち雪道もOKなので日本に導入されないのは何故だろう。車両も自社整備をきちんとやり20~30年使用するとのことです。

◎米国日通ニューヨーク引越輸送支店
概要の説明後に書庫センター(機密文書の保管業務)の見学と荷捌きや引越荷物を保管している第1倉庫を見学しました。倉庫の中にフェンスで覆われたスペースが有るので、なんだろうと思ったら保税倉庫でした。日本品質を維持するためにトレーニングルームで外国人スタッフに梱包やマナー教育をしている。大型の自動ストレッチフィルム巻き機を導入していた。

◎全米トラック協会
会長はアイスホッケーのチームが久しぶりに優勝してパレードの渋滞でお会い出来ませんでしたが、副会長に説明していただきました。会員3,000社で50州にそれぞれトラック協会が有り、労働者が不足しているようです。また副会長にはそれぞれ、財務、法律等の担当が有り、ロビー活動の一環として、ホワイトハウスにトラックを持込み、トランプ大統領に運転席に乗ってもらったり(写真5)、PRのためにI♡TRUCKSの缶バッチを付けてもらったり(写真6)してるようです。
(写真5▼)              (写真6▼)
   

◎在アメリカ合衆国日本国大使館(写真7)
経済班 参事官の仁林様に米国経済の動向や日米関係等を説明していただきました。
米国経済の景気は着実に回復が続いていて、先行きも着実に回復が続くと見込まれる。ただし、今後の政策の動向及び影響並びに金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。
(写真7▼)

◎CTC AMERICA
シリコンバレーを拠点に伊藤忠テクノソリューションズの現地法人でスタートアップ企業(ベンチャーIT企業)の発掘と日本への紹介(写真8)などを行っている。ARや企業の領空は無防備で悪意の有るドローン等の説明後にUC大学の二人の教授が作ったLOCIX社の紹介が有り、低消費電力カメラを使用した、倉庫管理やフォークリフトの最適化等を行うとういう内容(写真9)でした。完成したらセキュリティーの方でも使えるのではないでしょうか?防犯カメラ等でもいいような気がします。
(写真8▼)             (写真9▼)
   

◎SAP
Teslaの本社の向かいに有るシリコンバレー最大のアウトサイダーとして4,000名の従業員を抱えるドイツ企業です。唯一の日本人従業員である坪田様に概要と合わせてデザイン思考を活用した企業の事業変革を学び、また、リストラ等の外資の厳しさも教わり、オフィスツアーしました(写真10、11)。自由な発想がし易い様に、いろいろな工夫がしてありました。
(写真10▼)              (写真11▼)
   

◎BOX
1,400のアプリケーションと繋げられるファイルの共有クラウドサービス企業で概要説明(写真12)の後にオフィスツアーをしました。デスクが上下出来て、椅子や立って作業が出来るようにして有り、また、フロア事に名称を付けてイメージを変えてあり、社員食堂をLUNCHBOX(写真13)として料理も美味しそうでしたが、ゲーム機やビリヤード台等を設置して楽しめるようにして有って休憩中の社員がワールドカップをTV観戦して楽しんでいました。
(写真12▼)              (写真13▼)
   

◎米国日本通運
米国輸送は80%がトラック輸送で、年間売上が7,260億ドル(約80兆円)の市場規模等の説明後に日通さんで使っていうシステムの説明(写真14)とデモ(写真15)が有りました。
(写真14▼)             (写真15▼)
   

以上で簡単ですが視察研修参加レポートとさせていただきます。改めて、瀬山団長、団員の皆様、大変お世話になりました。皆様から刺激を受け新たな情報も得て実りある研修になりました。そしてかけがえのない仲間が出来たと思っています。このような機会をくださいました。埼玉県トラック協会に感謝申し上げます。

 

トーエイ物流株式会社   杉本 直樹  

カーボンエクスプレス

ニュージャージー州のカーボンエクスプレス社を視察。主に潤滑油などをタンクローリーで輸送しているとのことです。注目すべきは、ベットレスのトラクターヘッドを使用し、モーテルで乗務員の休息をとらせている事でした。日本では、トラックステーションなどで宿泊施設がありますが、使用されているケースは少ないと思います。また、ビジネスホテルや旅館等があってもトラックの駐車スペースが無く現実的に不可能に近い状況であると思います。国土の広いアメリカならでは発想だと感じました。会社の立地条件についても別荘地のような趣きで、事務所内もアットホームな感じで働きやすい環境に感じました。        運行については2週間単位の運行で、売上についても日本では考えられない金額であり、改めてアメリカという国のスケールの大きさに驚愕しました。

全米トラック協会

ワントンにあるATA、全米トラック協会を訪問。役割としては、各州のトラック協会の取りまとめ、政府に対するロビー活動など、日本の全日本トラック協会とほぼ同様の役割となっています。アメリカにおいても日本同様に労働力不足が一番の課題となっており、今後十年間での貨物量に対し、約十万人の労働力が必要とされているそうです。人材確保のためにトラックドライバーのイメージを上げる努力を行っており、トラックドライバー自らメディア等にアピールしているとのことでした。また、ホワイトハウスにトラックを持ち込み、業界全体のイメージアップの活動を実施したそうです。労働力不足の対策として、様々な規制について緩和する活動も行っており、一例として18歳~21歳のドライバーでは、州をまたいでの運行は禁止となっていますが、この法案を撤廃する方向で動いています。ドライバー不足、輸送量の増加に対し、自動運転の推進、技術開発も進んでおり長距離輸送の補助的役割を担うことに期待されています。

アメリカにおけるトラックのエネルギーについては、日本同様に軽油が主流であり、排出粒子とオゾン層対策として排ガス規制を実施、30年間で一定の成果をあげています。また、燃費向上に対し、各メーカーにエンジンやタイヤの性能改善を要請しているとのことでした。ATAを訪問し感じたことは、アメリカにおいてもドライバー不足が日本同様に深刻な課題であること、ドライバーの平均年齢が上昇していることが今後どう対応して行くかということが共通の課題であること感じました。

米国日通サンフランシスコ支店

アメリカ国内の物流についてはトラック輸送が80%と日本よりもトラック輸送の比率が高くなっています。UPS、FedExなどの大手で10%、90%が小規模または個        人企業の構成とのこと。輸送品目については、機械、精密機器、自動車部品の順に多くなっているとのことです。配車については全米56支店で使用するウエブを使った配車となっており、料金履歴、車両情報、追跡システムも兼ね備えているシステムを使用しています。アメリカの労働時間については1日14時間の拘束、運転時間8時間に対し30分の休憩となっているようです。またELDという電子機器の使用を義務化し業務時間や運転時間の管理を実施していくようです。

カリフォルニアからニューヨークまでの4,800キロを2人で3日半で運行し、運賃については1月~9月までの通常期で$5,000、10月からの繁忙期で$8,000となっています。ただしここ最近のドライバー不足により、傭車支払いについては支払額が上がっているとの事です。また、ドライバーの平均年収については、$40,000から$80,000と日本よりも高収入となっているようです

今回のアメリカ訪問に関して感じたことは、国土が広いアメリカならではの発想とスケールの大きさに感動しました。またシリコンバレーの視察については、アップル社、インテル社、マイクロソフト社がアメリカで誕生したように自由な発想の国であると感じました。ただしきめ細かい作業に関しては日本の方が優れているのではないかとそれぞれの視察先で感じました。アメリカに到着し、日本車が多く走っていることもそのあたりがアメリカ国内に受け入れられている事と感じました。

今回の研修視察では、たくさんの貴重な体験をすることが出来ました。主催された埼玉県トラック協会に感謝し、この体験を今後の業務に活かせるよう日々精進してまいります。

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